なぜ、堆肥を先にする必要があるのか ?

肥沃な土壌とは??

色々な視点がありますが、農業の中で共通しているものは、
イオンの吸着・保持する能力の大きさを示すCEC(陽イオン交換容量)と、そこに吸着している養分量を示す塩基飽和度の
関係が【肥沃な土壌】を説明するのに最適だということです。

理由は、
土壌を人間の体に例えると、CEC(陽イオン交換容量)は胃袋の大きさ、つまり養分を蓄えられる量。
塩基飽和度は満腹度合い、すなわち養分の充足度と考える事ができるからです。

あとは、胃袋の大きい土壌に良質な栄養をたっぷりと与えてあげれば、素晴らしい肥沃な土壌が出来上がるという訳です。
 ※植物の生長に必要な栄養は、また別に必要です。
CECの大きさは、土壌の状態(粘土)の種類によって異なります。[表1]

※1:1型のカオリナイトやハロイサイトと比較し、2:1型のスメクタイトやモンモリロナイトの方が陽イオンを多く
保持できます。何といっても腐植は最高です!!

粘土の種類とCEC  [表1]

粘土の種類 CEC(meq/100g)
カオリナイト (1:1型) 3~15
ハロイサイト (1:1型) 10~40
スメクタイト (2:1型) 80~150
モンモリロナイト(2:1型) 80~150
アロフェン 30~200
腐植 30~280

[表1]をご覧いただくとわかりますが、
APEX-10(エーペックステン)は天然の腐植酸です。腐植=肥沃な土壌ということがよくわかるかと思います。

さて、鳥取は砂丘が有名で、砂地を利用しラッキョウや長芋栽培などが有名ですが、生育中に数回にわたり追肥を
欠かすことができません。
これは、砂丘土壌は粘土が少なくCECが低いので、作物によって吸収されて無くなった養分を随時補給する必要
があるからです。
結果として、低CEC土壌で養分を流出させず作物に供給するには、堆肥の施用が効果的だとわかりました。

[表2]に堆肥の種類とC/N比、無機化率を示しました。
最もC/N比の高いバーク堆肥の無機化率は、年間7パーセント程度で肥効が穏やかなことがわかります。

堆肥の種類とC/N比・無機化率 [表2]

    発酵
鶏ふん堆肥
鶏ふん
もみ殻堆肥
バーク堆肥
C/N比   7 15 21
1年目 無機化割合(%) 54.6 38.0 7.4
2年目 無機化割合(%) 19.2 17.5 13.5
3年目合計 無機化量(g/㎥) 7.38 5.55 2.09
  割合(%) 73.8 55.5  20.9

バーク堆肥は穏やかに分解され徐々に無機化した養分を放出するので、適量の施用は流亡もなく、植物(作物)に必要な
栄養を供給することができるのです。
一方、発酵鶏ふんは、無機化スビートが早く化学肥料と同等の即効性が期待できます。
肥料に含まれる炭素量(C/N比)が少なくなるほど肥効が早くなるので、C/N比や含まれる養分量を考慮し最適なものを
選びましょう。

 

簡単にまとめると、CEC (陽イオン交換量)が多い腐植土は、団粒化を含めた土壌を健康にするには最高のものであり、
堆肥はそれらを支えるものとして最適である
ということです。

まずは、この状態【CECが多い腐植土】を作ってあげないと、いくらアミノ酸肥料(チッソ肥料)を与えても
流亡するものが多く、無駄が多くなってしまいます。

次回は、どのようなアミノ酸肥料(チッソ肥料)が良いのかについて見ていきましょう。

 

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